真白にオレンジ、そして青

書き殴ってくスタイル

映画「ヤクザと家族 The Family」鑑賞後の殴り書き

 

 

吐き出さずにはいられなかったので投下します。

ネタバレばかりですのでご注意ください。

 

 

 

 

 

 

「ヤクザと家族 The Family」

鑑賞しました。

終わった瞬間思わず拍手しそうになった。

テーマ曲の「FAMILIA」があまりにも衝撃的で、素晴らしくて。そこで泣きそうになったのは耐えたのに、退館しようと歩いていたら色々と込み上げてきてしまって急遽手洗いに駆け込んで大泣きました。

 


なんでしょうね。とても好きです。

 


山本は柴咲や中村を敬愛して、組を、家族を、縁を持った人々を愛する。そこにはヤクザとそれ以外の人々、なんて境界線は存在しなくて。だけど山本の言う通り、"そっち"側で生きる人たちはヤクザとそれ以外を線引きしてしまう。

そんな現実があまりにもリアルで、自分の無知さも突きつけられるようでした。ヤクザを取り巻く法や制度のことを何ひとつ知らずにきてしまっていた。"あちら"側として線引いてしまっていたんだと、改めて思わされました。

作中で勉強をするシーンがある登場人物って、黒を着ないんですよね。由香や彩、翼は最後までヤクザの世界には来なかった。山本も組に入る前は真っ白だったけど、組に属して黒を身にまとう。真っ白な服装のなかで目立つ柄シャツは、その後身体に刻み込む刺青を思わせる存在感で。そんなところをふと気にしたりしつつ。エンドロールを追いながら、また観よう、と思いました。し、正直翌週にもまた映画館に足を運んでいました。

山本に与えられた愛と、山本が与えた愛の形を覚えていたくて。

 

柴咲から向けてもらった温かい触れ合いを、山本は真っ直ぐに受け止めて人に渡すじゃないですか。頭を撫でたり、左肩に触れてから強く抱きしめたり。

個人的な話なんですけど、柴咲の「えらく頑張ったらしいな」はとにかく、本当に震えました。この人はあの出来事を頑張ったって言ってくれるのか、って。山本と同じことを本当に思った。そう思ってしまえるほど、あの言葉は胸にあたたかく響いてたまりませんでした。色々とお話は耳にしていましたから、それがアドリブだったって知っています。もう、アドリブという言葉の意味を見失いました。

あと中村からの学びも、確かに山本にとっては大事だったんだよなって。兄弟でしたよね、あのふたり。切ないけれどあの夜中の兄弟喧嘩の泥臭さがどうにも好きです。

自分が手を汚す前にナイフを突き刺した中村の姿を見ていた山本は、翼が加藤に近づく前に殴り込む。中村からもらった愛の形をそのまま翼にしてやってるんだろうなあと思って。だって柴咲と同じ愛し方労り方をする山本ですもん、翼が加藤に接近した時にはそんな気がしましたし、親父殺したやつ見つけたって言われた時点で確信してしまった。愛してもらったのと同じやり方で愛するんだろうなって。まあ中村からしたら格好付けたかった場面だったんでしょうけど。でも思い遣ってくれたのは事実だから。

翼は山本から愛されて、それでもその関係は、傍から見たら赤の他人なんですよ。相関図的には。だけど山本が中村や柴咲と同じ愛し方を彼にするから、翼と山本の関係もこちらからしたら親子や兄弟に見えてくる。それがすごく好き。親子なのか、兄弟なのか?いいんだよそんなの。家族でいいんだよ、みたいな温かさ。

最後に翼は彩に「お父さんについて教えて」って言われる。その時の翼の、お父さん、とは…?みたいな表情が大好きなんですけど、それ以上にその後の合点がいったような笑顔がとにかく本当に好きで。ケン兄って親だったんかーいっていうのもあるでしょうけど、だけどあの世界で、翼が「敬愛するケン兄」の話が出来る相手ってきっともう誰もいなかったんですよ。それを含めての、あの笑顔だったんじゃないかなあって思ってしまいます。

次世代、を象徴するふたりの出会い。また新たな始まりの気配が、終わりの切なさを明るく映すようで。本当に大好きなラストシーンです。翼なら大丈夫。彩なら大丈夫。そう、信じています。

翼の瞳、好きなんですよね。

伺い見ることをするじゃないですか、翼って。会ったほうがいいと思うって言ってから、どう思う?って感じで目を向けるシーンがあるんですけど、その寄り添うような目の動きが本当に好き。ラストシーンもそうですけど、それだけでなく彼はすごく瞳が印象的でした。優しいの。磯村勇斗さんをこの映画で初めて知ったんですけど、本当に引き込まれました。惹かれたといってもいいくらい。

翼と彩は、どんな話をするんでしょう。

翼から山本の話を聞けば聞くほど、翼のこと以上に山本は彩を愛してくれたはずだって、信じられてしまうんだろうな。だってあの山本だもの。山本に愛された翼の言葉だもの。なんて、夢を見てしまいます。

お父さんが山本であると彩に伝えてくれた由香も、お父さんが彼だと受け入れて寄り添い知ろうとしてくれる彩も、強い人たちだなあって尊敬してしまう。

 


離れようとされていても近付いてしまうし

近寄ってきた家族を突き放すことができない

 


それは大事だから、愛しているから傍にいたいし、いて欲しいっていう想いなんですよね、きっと。だけど相手のことを思えば傍にいないことの方がいいんだって突きつけられる。その現実も覚悟も全部、柴咲が山本に教えてくれる。教えられたから知って、山本も行動に繋げられた部分もあるのかなとも、思うんですけど。そこに踏ん切るまでの柴咲の不器用さみたいなのもね、切ないけど大好きですよ、ほんと。たまらないですよね

沢山与えられて、与えられたものを別の人にしっかり与えて。繰り返しながら、作中でやっと、たった一度、山本の口から「愛してる」が言葉として出てくる。役者の方々がこの作品を「愛」だと表現されていたから、そこにあるものは愛だと信じて、いや愛であると思いっきり引っ張られてしまっていますけど、山本は「愛してる」を口にするまで、自分の中にある感情が「愛」であると名付けられていなかったんじゃないか、とも思うんです。

だってあんなに愛おしげに笑うんですよ。細野抱きしめて、顔寄せて、愛しかないって顔で笑うんですよ。柴咲にも由香にもそんな笑顔を見せてこなかった男が、「愛してる」を言い残して翼がちゃんとした道に戻れるように先回りしてみんなから離れて独りになった後、さいごに会えた家族のひとりに。

 


嫌だなあって思ってしまったんです。

こんなに愛を身に纏える人がどうしてここで終わってしまうのかって。本当に嫌で泣いてしまう。結末に不満とかいう話ではないんです全然。知らないうちに世界が変わっていて、当たり前だったことが通用しない。愛を向けても受け取ってもらえない、返ってこない、気持ちだけ残して自分は独りになると決めなきゃいけない、居場所を無くさなければならない。それがもう全部、私が怖いと思っていることだからかもしれないってだけなんですけど。だって文字打ってて泣けますもん。怖いし嫌です

山本を見ていて、私自身は愛されたことをどれだけ覚えているだろう、どれだけ愛された分を人に与えられているのだろうって、そんなこともふと思ってもしまったんですよ。

自分にとっての、家族とは。

誰の顔が思い浮かぶだろうって、色々と考えさせられてしまいました

 


あと見ていて一番辛くなったのはどこかって話をしたんです。私はもう山本が柴咲組に帰ってきて組一同で食事をするシーン一択でした。だって昔は同じ人数でたくさんの寿司を囲んでいたのに、2019年では重箱の中に惣菜と白米が詰められてるんですよ、白米。そしてこれは肉料理!魚料理!と指させる豪勢な料理が見つけられなかった。柴咲の食欲を加味してのものもあったかとは思いますが、それにしたってだって。時間軸が2019年になってからじわじわ感じていた違和感が目に見えて形にあらわれるようになる、あの食事シーンというかあの食事内容が、個人的には一番胸にきました。

あとSNSで大学の時に由香がめっちゃ好きって言ってた!みたいな呟きが、記憶違いでなければあったと思うんですけど、私そんな当時の由香がほんとにもうとてもかわいく思えてしまって…。当時のそんな由香を想像しては、好き!かわいい!って言いたくなっちゃうんですけど、目の前にある現実は現実なので。そんな、なんで駄目なの…好きじゃいけないの…なんて。気持ちが本当に沈むんですよね。


しんど…

しんどいですよね、この作品。

しんどいんですけど、だからこそ描かれる想いの数々がたまらなく愛おしく感じられてしまって。


また観に行こう、と思います。

どうしたって好きなんです。この作品が、心から。

 

 

 

 

 

 

 


とか、なんとか。言いながら。

そろそろ覚悟は出来たでしょうか。

 

 

 

millennium paradeの「FAMILIA」MVを、見に行く

 

 

 

 

 

それでは