真白にオレンジ、そして青

書き殴ってくスタイル

朗読劇「はなしぐれ」観劇後の殴り書き

 

 

 

 

 


朗読劇「はなしぐれ」観劇いたしました。

以降、本当にネタバレしかありません、ご注意ください。

 

 


考察にもならない感想文の書き殴り。とっ散らかっているにも程があります。

 

 

 

 


最初見た舞台上のお写真には椅子が2脚しかなくて、この人数でやるのに!?という衝撃がありました。あったんですけどいざ会場に入れば椅子の背後には紗幕が降りていて、話が進めば舞台は神社にも大学にも居酒屋にもなって、紗幕向こうの階段がさらに立体感と奥行きをもたらせていました。真っ先に「あの星に願いを」でスカートに投影された子ども達の姿を思い出して、とんでもないものが来るのではと震えました。実際プロジェクターが駆使されて大活躍で。ね。めちゃくちゃ凄いことになってませんでした!!?大学の中庭みたいなところに佇む恭介の、あの場所の奥行きはなんだと震えました。セットの転換もない朗読劇を見にきているはずだよな………?となりました。朗読劇ってなんだろう、てなっています。言葉で伝える朗読劇なのに主要な登場人物は揃って口下手で。漫画で想いの昇華も描いてそのキャラクターたちも動いて会話して。

でもこれ朗読劇なんですよ。

朗読劇、めちゃくちゃ出来ることあるしめちゃくちゃ表現の幅があるんだな!?て、思わされる本当にすごい入り組んだ、作品だなと思いました。舞台演出がまるで映画を見ているようで、すごくすごく贅沢な体験でした。花びらが舞うし、漫画原稿も舞う。紗幕に雨は降るし文字も散る。朗読劇でこんな体験をしていいんですか!?てなりました。本当に、本当に贅沢…。

 


「はなしぐれ」本編は6月以降の話で、作中でも梅雨入りしたと語られている。徐々に雨の降る日が増えてくる季節の恋を、花時雨という桜咲く頃の雨として描いた、昇華した美波の胸にあるきらめきが大好きです。桜の季節は出会いと別れの季節、とも言いますし。

ね。

ビジュアルの話なんですけど台本めちゃくちゃ良くないです?????

めちゃくちゃに好きです。

マリアにとっての道留がキラキラしていたように、美波の描く世界がキラキラしていたように、儚さときらめきとが詰まったようなキービジュアルポスターとは異なり、少し褪せたようなブラウン一色の台本。私はこの色を初めて見た時に雨の日の境内の色だと思って、キービジュから抱いたふんわりとした雰囲気から一変、地に足つけて観なければと感じたんです。おかげで観劇前の1週間は本当にお腹が痛かった笑

 


「はなしぐれ」1回目の観劇では呆気に取られてしまったんですけど、以降の観劇ではめちゃくちゃに泣きました。いつも違うシーンで。

出演キャストさんたちが口下手な登場人物たちを描くのに、本当に声と、身振りと、表情と。全てを使って物語ってくれるのが本当に良くってですね……………。教えられるんですよなんか、めちゃめちゃに、この台詞をこの表情、感情、姿勢で届けています、ていうのが台詞に説得力が増して。

 


慎介、蘭子の独り言を始めちゃんとそっぽを向いて聞いていて、多分最初の方って何があったか予想はつけてたんですよね、きっと、同郷だから。一切笑いもせず、独り言が進むにつれてどんどん俯いていって、真剣に受け止めてくれるんだけど何も聞いてないって変わらず蘭子に向けて笑顔を作ってくれるところ、すごく良い奴だなあ…となっていました。境内で出会った時の進への声音と美波への声音の違いも、すごく良かったなあとなります。完全に進よりも美波を優先して優しく扱っていて。…今までの彼女のなかにも、そうやって進の隣から自分の隣に連れてきた子とかいたんじゃないの…?とかいう見方が過ってしまいます。頭も顔も良いわけですし。どうなんだろう。「大好きだからさ」から「今までありがとな!」の流れ、めちゃくちゃに失恋として描かれているよね…となって泣けてしまうんです。「何とかする」を受けた後の慎介、進に悟らせないように時には努めて明るく、時には静かに隠しつつも感情を覗かせてしまうところがもうだめです。それでも、慎介が最後暗転したあとに、よーしと体を動かし切り替えるように去っていくところがすごく好きで。きっと進が言ってくれた自分との未来を、現実にしようと頑張っていくんじゃないかな…………と、その表情を見てハッとさせられました。ずっと恋してたんだもんなぁ慎介。

責任、てあるじゃないですか。その事についてなあなあで終わらせず、ちゃんと考えるようにと繋いでくれた店長の岩渕さんも本当に素敵な人だと思いました。本当に。静香さんのお話を溢してくれたから、海流がどうなっていると美波が考えているのかとかも察せられて。岩渕さんみたいに明るく豪快でお父さんみたいなあったかい方が、故郷に帰れないの、何年経っても色褪せない記憶でいるの、愛情に溢れた優しい方なんだな…と思うばかりです。優しいで終わらせられないですよね、いつか遠藤さんと進とお土産の宮城の地酒で、乾杯が出来たら良いなと思います。ところで千秋楽になってようやく、あの文字の動きが炒め、炒め、皿に盛る、だと理解しました……盛り付け分かってなかった……。

遠藤さん、この人が鈴木さんだけの単一キャストだったこと、すごく好きなところです。前作「あの星に願いを」でも中神さんが星羅のお父さん役として単一キャストでしたが、ひとりだからこそ発言がブレないんですよね。それだけで発言に説得力が増して、大事な配役なんだろうなと思わされました。先のことに目を向けて思考を続けている大人として、誰にも寄り添ってくれる遠藤さんはすごく出来た大人で、すごく爽やかです。鈴木さんが持つ清涼感もあるんだろうなと思いつつ、その爽やかさが発言を重くさせすぎないんだろうなぁという印象でした。進ませてくれたと自覚的ですからね、進が。期待を込められたあとの美波への「応援してる」の力強さがもうさ…遠藤さんすごいんですよ。大学の15年先輩で宮城のテレビ局勤務、なんて、じゃあ当時はと考えたらもうキリがないんですけど、後半に出てくる「がんちゃんが静香さん連れてきた日のこと」「東北海の杜テレビ」「長い家出だ」で遠藤さんも宮城県民なのかなと匂わせるまで、バックボーンを明かさず若者を気にかける気さくな大人として存在していたこと、すごく頼もしかったです。

進、そもそもなんですけどサッカー推薦で大学入った人間が怪我でサッカー諦めて自分で見限りつけようとしてるってお前自分の立場分かってんのか……?て気持ちがすごくてですね…。めちゃくちゃ崖っぷちにいないかこいつ大丈夫?てなりました。ヤケかは知らないけれども蘭子からの評価が凄まじくて、キャラを掴もうとしてるところでブラックリスト入りってワードは印象が引っ張られそうだなあ…とか思っていました。まあ、流される人間って評があってのブラックリストはまあな、という気持ちです。というか「酔った勢いで言っていい?」と美波から切り出された進、あの反応は告白待ちしてたよな……?と勘繰ってしまって、お前モテるんだろうなぁとなったのは仕方がないと思います。今までは言い寄られてそのまま、てことだったんじゃないかなあとは思うんですけどね。来るもの拒まず去るもの追わずの姿勢だったんじゃないかなと。蘭子に対しての「あーゆーのタイプ?」「近寄るのやめとこ」「謎に叩かれた」が本当に関心ないんだろうな…と思わされました。叩きながら何を言われてたかとか、聞いてないんだろうなーって。ただ一方で美波との距離感は迷子になると。まじで「ちゃんとしなくてごめん」の台詞がえぐいんよ。でも友人の夢を話すときに姿勢を正す時があったり、「そのうち、何とかする」と自分から未来の話をする時にしっかり前を見て笑顔を見せるようになるの、ちゃんと自分の意思で進むことを決めたんだなという気持ちになれて、良かったです。怪我だってそう、テレビ局にと誘われても「考えさせてください」と、考えるために一度持ち帰ることが出来る人なんですから。進は笑顔が浮かんでるタイプでしたけど、美波と話す時のソワついた感じと、慎介と話す時の気のおけない感じと、店長や遠藤さんと話す時の後輩然とした感じと、同じようで違う側面を見ているようで、どこか子どもっぽいというか、ころころ笑ってかわいらしい人間性を感じられました。そりゃモテる…と納得させられたような心地です。一方で気になる子誘えないんだろ、て焚き付けられて「それくらいできるわ!」て言ってから結果なぜかカタコトっぽくなって飲み行かねと誘いかける進の、やっぱ気になってんだ…感がめちゃくちゃに好きでした。

傘があるのに雨だからもしかしてと境内で雨宿りしてみる進と美波の、お互いがお互いを待っていた感、口下手たちの行動が雄弁でたまらなかったです。

ほんと、すごく口下手な人しかいないんじゃないかな……と思いつつ、だからこそ美波の描く漫画が雄弁できらめいて見えるんですよね…となりました。好きです。というか名前を聞かれた時、海流に重ねていた進の口から「海」て出てきて反応してたんか美波………?自分の名前との関係に掠ったからではなく…?どうなんでしょう、どうなんですか??こういう時に地の文が欲しくなってしまっていけないですね。美波の男に勝ちを譲らない強気なところ、すごく好きです。岐路に立った時にどうしようとまっすぐ進に相談して頼れるところも、素直で素直になりきれないところも。ところでマリアの「今なら死ねるかもしれない」は美波にもそう思う気持ちがあるってことなんでしょうか。兄がそうだったらと、考えていたのかなあ、なんて思います。悲しい思考だからこそ、読み上げる進の冗談めかしたイントネーションが心地よく感じられました。ふざけんなと思ってくれているようで、どこか安心しました。

はじめは進に兄を重ねていた美波が、進を進として意識したのはいつからだろう。私は進の「お兄さんの顔見たいし」の台詞が引き寄せられて好きなんですけど、もっと前のはずで。だんだんと道留を形成するものが海流から進になっていって、海流が慎介のエピソードと共に恭介の姿をしていくの、脚本構成演出の妙……!と震えていました。美波の心の動きを漫画への昇華と共に描くって、凄くないですか。朗読劇ってなんですか?大好きな「あなた」が進ひとりのことなんだと、マリアがそこだけ進に向けて声を張り上げて、今も変わらずに好きなんだと伝えてくる場面はもう、目が覚めるような心地でした。観劇の初回はお兄ちゃんと恭介のキャラクターとしての移り変わりに気付けなくて、マリア心変わり?とか思っちゃってたんですけど、マリアは去っていく道留に向けて、美波は進に向けて叫んでいるのだと分かったので、本当に安心しました。難しかったですね…。でも経験や思い出を込めながらひとつの物語を作る時、1人の人間のエッセンスをひとりのキャラクターにだけ落とし込むのではないと思いますし、自分の体験、思い出を物語の中に生かすには散りばめるかたちになるんだろうなと思うんです。だから散っていても当然というか、当て書きじゃないんだもんな、となるんです。美波も世に出すならと描き替える選択を取れる人ですし。ただ伝えたいものがある。作品として見つけてくれたのは慎介で、本当に欠片を見つけてくれたのは蘭子で。届くものはあるんですよね。

というか花時雨のシーンなんですけど、唯一道留がシルエットに重なって見えなくなる場面あるじゃないですか。しかも足の影を被せてくるから横顔も口元も見えなくて、表情がまるで分からない。道留がマリアへの本気の好意を吐露する場面でそんな演出がされた。この道留に重ねられるのって、進しかいないじゃないですか、美波にとっては。だからもしかしたら、美波にはこの台詞を言う進の表情が、描いている時は分からなかったんじゃないかな…と思えて。そして言わせるこの台詞が進の気持ちと近しいのかどうかも、分からなかったというか、自分で決めるのが怖い部分もあったんじゃないかな…とか、考えてしまって。多分、漫画でもこのシーンの道留の表情は見えないんだろうなと思っています。だからこそ進からの「好きだ」をその目を見て、その表情ごと受け止められて良かったなあと思うばかりなんです。…汐谷さんが28日の昼公演にこの場面に震える感情を乗せてこられてそれも本当に素敵だったんですけど、夜公演にはしっかり聞こえる声で明るくどこか切なげな声音をされていて。美波に想像できなかったものをどれかに寄せさせない、という表現をされたのかなーとか、思っていました。漫画の中で描写される道留に徹するの、すごいですよね。

一方で最後の最後で慈愛に満ちるってくらいに甘やかで優しい声音でマリアを受け止める恭介はいたんですよ。あの声を聞いた途端、恭介本人が優しい人だというマリアの勘は正しいと裏付けされるようで、そしてこちらからしたらお兄ちゃんの鱗片に触れたような気ができたんです。描き始められた頃のお兄ちゃんはそれこそ海流で、美波の理想とも言えるマリアと恋をするお兄ちゃんは世に出すため他者である道留の中に落とし込まれた。そして美波が進や周りの人たちとの関わりを経て、道留は進になって、お兄ちゃんは恭介の中に残った。…………ということなんだろうなあと思うんですけどそのなかでの慎介のアシストがまーーーーじですごくって………………。慎介が初めて美波と会った時の「どっかで、会ったことない?」はナンパじゃなくて即売会で買い手と売り手として会っていたから記憶に残っていた、が真実なんですよね。ただその言葉を取り込んだ恭介はマリアに声をかけてくる。「せっかくの出会いは大事にしよ?」「その分、燃えるよ」て、マリアを狙う男のように描き上げる。慎介が出会った時のあの声音の柔らかさを美波がそう捉えていたなら、そして慎介にその時進と張り合う意思があったのなら。「出会った時から凄かった」には見透かされていた、も乗るんじゃないかな、とも思って。まあ進と2人きりでいて惹かれない女はいなかった、とかの意味かもしれないけれど。で、結局美波にとって知らない人だった慎介から言われた言葉は、事情知る人にとってはお兄ちゃんとの再開を匂わせる言葉になった。誰の言葉だから、ではなくて美波自身の蓄えたエピソードが自分の作る作品の魅力を底上げる、そういった昇華なのかなあと受け取りました。「アシスト決まって良かったよ」に対して、まじで、出版社と繋げたことだけじゃないからな多分!??と暴れていました。(ところで台本に「アシスト決まって良かったよ」「まさか出版社と繋げるなんて」見つからないんですけど書き足しでしょうか………記憶が頼りなの…?)恭介の言う「…もういいの?」「ああ、良いよ」、優しく見守る姿勢を受け取るたびに美波がお兄ちゃんの面影をやっぱり恭介に残したのではと思えてしまって、震えていたんですけど違うんだったら恥ずかしい限りですね………。マリアの言う「道留君ほどじゃないけどね!」めちゃくちゃに好きなんですけど、進をもう選んでいるんですよね…お兄ちゃんが1番じゃなくなってるのが明確に感じられた台詞だなあと思いました。

お兄ちゃん………というか海流。なんとなく流れでと呼びつけて強引には紙一重だと思うんですけど、海流のそれは犯罪なんですよ。実際そういったことは起きていたと聞きますし、悲しいことに記憶に新しいことでもあります。環境のストレスとか色々あったとは思いますが、想像の余地があるというだけとも言いますか。しでかしたことの重大さはきっと分かっているんだなとは思うんです、謝って謝って行方をくらますわけですし。相手自分の妹と同い年の子ですからね…えぐいんだわ。生まれは神戸の海流、2011年で大学生なら1995年には生まれていたわけで、そんな息子が震災後東北の地で行方知れずってご両親のことを思ってしまっていけない…しかも蓋を開けたらこんなですよ。全然関係ないんですけど、生きてるなら怒られる以上の相当な覚悟をして、ご両親には連絡入れてほしいなと、思ってしまいますね…。まあ、とか言ってますけど海流がどんな人物かは直接描かれていませんからね。ただ、美波の大好きなお兄ちゃんである海流はいたと道留が証明してくれているし、大好きになるほどの優しさを蘭子にくれた。それは絶対的に間違いないんですよね。ひとりの人間をひとつの出来事から判断するわけにはいかないのはもちろんですが、なにより美波の気持ちと蘭子の気持ちを受け入れたいなという考えに終着しました。

その人が隣にいたからこそ踏み出せた一歩がある、という印象を抱いたシーンがいくつも見られた今作でした。だけどやっぱり、蘭子は強いよ、とどうしたって思います。強くて優しくてすごい子だと思います。彼女が被害者であることは忘れないしそこに対して海流への怒りもありますが、彼女が何を大切に想って大事にしているのかを何より忘れずに、尊重したいなと思うばかりです。本当に。ただ彼女がお腹殴るのほんとにだめで、もうなんかほんと泣けてきちゃうんですよ。ね、好きなものに囲まれて笑ってる蘭子の笑顔が眩しくて好きです。慎介からの「蘭子」呼びを許しつつも「蘭々」として線引きをしてる、ラストの蘭子の姿が大好きです。蘭子にとって居心地の良い距離感のなかでひとりぼっちにならないままでいてくれたら良いなあと願ってしまいます。


境内で原稿を読んだ進の伝える「また、会えますか?」にはきっと、「未練がましいと嫌われちゃいますね」が含まれていたと思うんです。ただその一方で、漫画でマリアに込めた美波の「また、会えたりしないかな」には返答しているわけで、美波からの未練がましいよねも嫌われちゃうかなも丸ごと進は否定してくれたんだと思っています。書き下ろしのボイスドラマ、元々の台詞がどうだったかは分からないけれど「雨の匂いが消えないうちに、必ず」という返答がめちゃくちゃに好きでした。返歌か!となりました。…なったんですけど、そもそも雨が降ったらまた会えますか?を受けて「神社はいつも雨」をまずぶつけてくる進が強すぎますねこれ………え、強すぎる。ともかく。商業となった花時雨がどんな結末になったのかは分からないけれど、もしかしたらまだ連載中かもしれないけど、それだけで再会ハッピーエンドの気配は読者にだって届いたんじゃないかな、とも思いました。雨の匂いが変わったと思わない?から会話が始まったふたりですから。匂いが変わって、変わって、いつか消える。美波が忘れられなくて忘れようとしていた海流の香り。海流の面影を残していた道留の香りが上着から消えていくのは悲しくて、冒頭のマリアの台詞は少し寂しげで儚げに聞こえたのかもしれない。ラストでもマリアに掛けた上着からは道留の香りが消えていくわけですが、その場面でのマリアの声は明るい。もしかしたら海流からの自立を描いているのかもしれないけど、個人的には匂いが消えていくのが感じられるくらい上着を借りていられて、匂いが消えてきても笑顔でいられるくらい、道留自身がマリアの隣にいてくれているんだろうな、ふたりで幸せになれているんだろうな、という方向で解釈したラストシーンでした。だから美波と進もきっと、そんなハッピーエンドに繋がったんだと信じています。


今回震災被害に遭われた方々にもお話を伺ったと聞きました。色々なお話があって、色々な想いがあって、色々な被害があったのだと思います。作品やキャラクターに反映させるうえで拾えきれなかったものもあると思います。自分たちが朗読劇「はなしぐれ」を観劇しどこまでを受け取れているのか、そして描かれたもの以上にどんなことがあったのか、起きているのか。そして震災のことだけではなく、ものを作り上げることについて、自身で考えて前に進むことについて、性犯罪について、自分なりにでも色々と考えていかないとなと思っています。

そして今回は本当に、台本があって役者が演じてセットと音楽と演出で世界観を作り上げた、舞台って素晴らしいな…!と力強く思わされました。だって台本だけでは、芝居だけでは、演出だけでは恭介のなかにお兄ちゃんの気配を感じられることはなかった気がするんです。「はなしぐれ」が朗読劇として創り上げられたこと、それを観劇できたこと、本当に嬉しく思います。こんなにも台詞から、演出から、声音や表情から想像を膨らませ物語を考えることが出来ました。本当に、とても楽しかったです。