真白にオレンジ、そして青

書き殴ってくスタイル

点と点を強引に繋ぎながら服の感想を殴り書く

 

 

 

 

※attention※

私の感想、所感が盛大に書き殴られております

 


2020年のフライデードラマに某所所属の存在しないエラーコードなバディ物語があったんですけど(面倒くさい言い回し)。

そんなドラマMIU404の公式ファンブック内に、綾野剛さんが「この台詞を言うならこの衣装だよね」と発言されていた、という記述がありました。

衣装スタッフの方々の尽力だけでなく綾野さんご自身も私物を持ち寄ってスタイリングされたという。そんな衣装って、一体どういったものなんだろう?

こちらはそんな興味を抱いたオタクによる、服まわりに限った個人的な感想文です。

作品を観て服を探して、改めて作品を観たらこういうことを思ったんですよ、というだけです。それ以外の何ものでもありません。タイトルの通り点と点を強引に繋ぎ合わせて騒いでいるだけなので、自己満足です。そんな見方しちゃうんだね〜くらいで触れていただけたらと思います。ふんわりで。ふんわり止まりでお願いします。

ただネタバレは満載なので、ご注意くださいませ。

 

 

 

 

 


1話

この段階で「伊吹の衣装は役者のこだわりです」と言われている本作(公式ファンブックより)

・伊吹-1 C.E CAV EMPT(シナリオブック※以降省略#1 1〜124)

・糸巻1- Nirvana(#1 71〜115前)


目を引いたのは、人物の横にプリントされた文字。(画面を見て文字引っ張り出しただけなので、実物に書かれているものが違っていたらすみません)


『a world of potentialities or possibilities rather than one of things or facts』


※直訳です

B rather than A / AよりもB

A: one of things or facts / 物または事実のうちの1つ

B: a world of potentialities or possibilities / 潜在力または可能性の世界


1話を通して現在の伊吹の警察官として駄目なところ、出来ていないところ等を目の当たりにした志摩ってその実、伊吹の進退を握っているじゃないですか。だけど最後の最後に刑事の仕事の基礎から出来てない、その事実を把握したうえで伊吹を奥多摩に返すという判断ではなく「ひとまず、保留で」と伊吹との可能性のほうを選ぶ。この文章だけを単純に読んだとき、志摩のこの選択を思い浮かべました。志摩がこの時何にスイッチを押されてどう思ってその選択をしたのか、語られる場面が後にありますけど、ここで読む文章が、その内容とあまり意味を違えていないように思えてしまったんですよね。そして、それは一日志摩を隣で見ていた伊吹からも言えることなのではないかなと。「俺たち、良い相棒になれそうじゃん」と、またはそれに近しい予感じみたものを、既にどこかで感じていたのではないかと思ってしまったんです。

ちなみに上記の文章で正しかった場合、理論物理学ハイゼンベルクの文章がヒットしました。翻訳を見つけられていないので、どんな流れでの言葉だったのは分かっていません。調べられたら追記します。

ところで。なんで伊吹は勤務初日から糸巻さんに、マキマキ!なんて思った以上に親しげなんだろうと思っていたのですが。1話で着ている糸巻さんのTシャツ、Nirvanaのニコマークだったんですよね。今後2回ほどNirvana関連の服を着る伊吹です。知らない土地でちょっと親近感湧いたんでしょうか、なんて思ったりもしました。

しかしながら2019年の、4月5日という日に着られるNirvana!ハハッ

 

 

2話

・伊吹1-sacai(パーカー/#2 1〜8)

・伊吹2-sacai(ジャケット/#2 9〜82)

ジャケット内のパーカーは見えず未確認です


この回の伊吹は、真っ白です。柄も文字もメッセージ性のあるものは何も着ていない、というのが2話の伊吹です。

綾野さんってバラエティなどで自分が誰かの引き立て役に回るとき、全身真っ黒になるじゃないですか。それに似た感じがしたんですよね。

「切なる願い」

加々見の言葉を聞いて、姿を見て、作中の彼らは何を思うか。私たちはどう思うか。想いを個々に委ねた上で、俺は加々見無実派〜って、真っ白な服で加々見を追いかけるんですよ。「加々見を信じる刑事がひとりくらいいたっていいじゃん」て。

一方で疑うことが警察の仕事だという志摩が黒いインナーとカーディガンを着て、だけど加々見が犯人であるとも犯人ではないとも、どちらの可能性も捨てていないからカーディガンの袖口に白が乗る。

ふたりの意思を服の色に反映させて、真実を突き止めに山梨まで走っていく。そして向き合ってごはんを食べる。2話は信じ方の違いを見せつけながらも深まったコンビ感を感じさせられて、とても好きです。

 


3話

・伊吹1-millennium parade(#3 11〜18)

・伊吹2-Radiohead(#3 21〜35)

・伊吹3-millennium parade(3話伊吹1と同じ/#3 41〜46)

・伊吹4-BALR. (#3 48〜84)

・伊吹5-sacai × NIKE(#3 87〜91)


この回で目を引いたのは2点、millennium paradeとRadioheadです。

伊吹を役作るなかで、伊吹だったらこういうファッションなんじゃないか、伊吹だったらこの台詞のときこの服装だよね、と衣装の提案を綾野さんがしていたということでしたが、もうひとつ、このコロナ禍のなかで自分に出来る応援は何だろう?とも考えておられたそうで(シネマスクエアvol.125)。3話と4話の撮影中に自粛期間が始まって撮影が中断することになってしまったため、このふたつの回は撮影時期の異なるシーンが混ざり合っていると言います。元々バンドTシャツを着る設定の伊吹ではあったから、そのチョイスや役者の気持ちがどのタイミングのものかは分からないけれど、だけど伊吹が着るバンドTシャツのトップバッターがmillennium paradeなの、関係性を知った上ではあまりにも素敵に思えてなりませんでした。

そしてRadioheadは、虚偽通報者に初接触をする際の伊吹の衣装です。虚偽通報者の正体は、廃部にされた元陸上部の部員とマネの計5人。そしてイギリスのパブリックスクール(13〜18歳が属する)で出会った5人組バンド、それがRadioheadです。作中の5人に合致する、という以上にここでは、Radioheadの彼らが学生時代に出会い、その後ずっとバンドを組んでいるという事実に何より驚かされました。バシリカの高校生たちも、どうか長く付き合いを持ち続けてくれたらいいなと、そんなことを願ってしまった。そうだったらいいなあと、切に祈ります。

それにしても、このようなバンドTシャツの出現、リアルタイムで気付いた人にはどれだけの衝撃だったでしょう。気になるばかりです。だって絶対楽しいじゃないですか、こんなの。気付けるというのは知識者たちの特権ですが、とても羨ましく思えてなりませんでした。

 


4話

・伊吹1-sacai × NIKE(3話伊吹5と同じ/#4 1)

・伊吹2-BAD HOP WORLD 2020(#4 3〜109)


3話の続きから始まり、日を改めての密行日。青池透子を追いかけるこの回、伊吹が着ているものはBAD HOPのライブTシャツです。こちらは川崎出身のヒップホップグループで、2020年3月にコロナを鑑み無観客ライブ「BAD HOP WORLD 2020」を行いました。その際のTシャツ。書かれている文字は「Lift off」

ネタバレなのもそうですけど思うことがありすぎて、4話と「Lift off」に掛かるものについて、どうにも文字で書き表せないのですが、どうしたらこんなにもタイムリーなTシャツという名の作品に出会えるのか。ちょっと意味がわからない(褒めてます)。

すごく、伊吹っぽいなあって思ったんです。胸がいっぱいになる心地といいますか。

なんか言いそうじゃないですか、伊吹。分からないですけどもし間に合って、青池透子から顛末を聞くことが出来ていたら。伊吹は改めて、行け、届けって願ってくれそうだなぁと思ってしまって。そのルビーが結果、あの後どう扱われるのかは作中で描かれていないため分かりません。触れられていない完全なる余白部分だからこそ、その行く末を祈ることが許されるのではと思ってしまいます。

まあ、だけど志摩ならそういった場合どう警察は動くのか、動くことが出来るのか否か、色々把握してるんでしょうね。きっと。

追記(2021/3/14)となりますが、BAD HOPとこの回の接点。恐らく「Lift off」のメッセージだけではなく、ヤクザ絡みの事件だったからだと思われます。そう思ったのは、令和3年1月29日に公開となった映画『ヤクザと家族 The Family』の劇中歌としてBAD HOPの楽曲が使われているからです。青池透子を想うだけではなく、そこにいるヤクザたちにも想いを馳せさせるスイッチを、最終回が過ぎた約4ヶ月後に押されてしまいました。現代を生きる彼ら彼女らについて、色々と考えさせられるばかりです。

 

 

5話

・伊吹1-BALR. (3話伊吹4と同じ/#5 1〜31)

・伊吹2-LED ZEPPELIN(#5 33〜47)

・伊吹3-C.E/CAVEMPT(1話伊吹1と同じ/#5 50〜67)

・伊吹4-JOY DIVISION(#5 68〜86)

・伊吹5-NUMBER GIRL(#5 89〜90)


コンビニから着ているはBALR.のブランドパーカー。3話でも着てました。強盗事案を皮切りにマイちゃんと接しながら、伊吹は外国人技能実習生たちの現状をその目で見ていきます。Led ZeppelinのツアーTシャツ(1977)。こちらは日本語学校教室を訪れたりガマさんから話を聞いたりする際に着ているんですけど、正直、ここの掘り下げが上手く出来ていなくて。移民の歌(Immigrant Song/1970)はあるけどツアー時期とは違うなぁと思ってもいます。何か、これでは?という情報がありましたら教えていただきたいです。

そして外国人労働者を取り巻く様々な現実を聞き知った後、伊吹はそんな現実に傷つけられたマイちゃんに寄り添いに行きます。

『a world of potentialities or possibilities rather than one of things or facts』(文章合ってるだろうかという不安※前述)

1話と同じ服ですが、ここまでの5話の流れを見てくると、こんな世界だけど未来はあるはずだよって、訴えかけてるように受け取りたくなってしまうんですよ。

だけど伊吹のごめんねはマイちゃんに受け取られない。届かないむなしさ、やるせなさを感じてしまいます。

そして日が明けて志摩が水森の任意同行を求めるところから着ている服は、JOY DIVISIONのUNKNOWN PLEASURESです。学がなくて申し訳ないんですが、このTシャツにプリントされた図。これは初めて発見された、電波を放射するパルサーの波形なんだそうです。肉眼では見えない(こぎつね座の方向らしいです)けれど、発する電波を我々が受け取れたことからそこに在るのだと判明した。その時に目に見えるかたちで受け取った波形。目の当たりにしたもの。なんか、5話だなぁって思って。5話で描かれた外国人労働者は確かにこの日本国内に居て、彼らの現実は私たちの身近に在るんですよ。ここでの描かれ方がほんの一部であっても、氷山の一角だけであっても、この5話の中で垣間見た彼らの生活は存在しないものではない。一度発見された中性子星が無い存在にならないように。伊達メガネで誤魔化そうとしても、確かに彼ら彼女らはここに生きているんですよね。それを、忘れないでいたい。

とか、なんとか。色々と考えさせられてしまいます。

最後、もんじゃのシーンで着ているのがNUMBER GIRLの逆噴射パーカー。福岡のオルタナティブロックバンドです。だって訛ってましたからね、九重。直後、ダイレクトに相手の身内ネタ(?)を仕込んでくる伊吹、良い人だなあって噛み締めてしまいました。

 


・6話

・伊吹1-NUMBER GIRL(5話伊吹5と同じ/#6 3〜45)

・九重1-DENHAM(#6 47〜69)

・伊吹2-The Beatles(#6 47〜92)


九重と行動する前半は九重の地元、福岡のロックバンドNUMBER GIRLのパーカーを着ている伊吹。九重とのコンビ感が強調される感じがあります。脚本家の野木さんから後々言い表される伊吹と九重の、兄弟感。新鮮でたまらないです。

個人的には九重に貸した置きパーカーがDENHAMというデニムブランドのものなのですが、それを着た九重が陣馬さんから「ミスも失敗も〜」という言葉を受け止めているのが、本当に好きです。デニムって履いて履いて履き倒して、育てるものじゃないですか。こちらのブランドって他の回でも衣装提供をされてるので、いつ、どう出てきても注目されるブランドだったと思うんですけど、ブランド名を掲げた真っ赤なパーカーとして、九重にぶち当ててくる。ミスしても失敗しても何度でも立ち上がり育っていけ、とでも言うかのような。もう、作品から九重、彼を始めとした若者へのエールみたいじゃないですか。これからだろって。

なんて。分かりませんけどね。だけどそう欠片でも思えてしまう衣装のチョイスに、どうしたって色々考えてしまうんです。

そして何より、九重と一緒に伊吹が着替えたTシャツがThe BeatlesのA Hard Day's Nightなのが、すごく衝撃的で。伊吹からだとそうなるんだ…!という印象を抱くんです。6話って、言ってしまえば志摩回じゃないですか。この回、最後ひと息つくのが夕方っていうのが最高に良いなあと思っていて。新しい夜が始まる前に、ひとつ息をつけるんですよ。このTシャツはビートルズ初主演映画の撮影でとにかくハードな長い一日が終わり、ようやくひと息付けたと思ったらもう夜だった、といったメンバーの発言がタイトルの元になったそうなんです。なんというか、すごく伊吹視点だなぁと思って。真夜中に魘される志摩が胸の内に抱くものの正体を追って探して辿り着いて、次の夜を迎える前の夕方、もらったコーヒーでひと息つく。いやあ長い一日だったと、ここでいう「一日」を思ってしまうんです。夕焼けの景色があまりにも綺麗で、もう完全に言葉を持ち合わせていないんですけど、この感じ、良くない?って言いたくなるんです。あの日の夕方、志摩が香坂の一件のなかで確かに息をつくことが出来たんじゃないかって、願ってしまうんです。

 


7話

BABYMETALが取り上げられた回。と少し脱線。

・伊吹1-John Winston Ono Lennon(#7 1〜93)


公式ブックの表紙もこの回の衣装ですね。ジョン・レノンのNew York Cityです。ニューヨークで過ごしたジョン・レノンの生涯についての描いたドキュメンタリー映画のジャケット写真。「現在地」がタイトルなこの回と、個人的には何とも言いがたい絶妙な心地よさを感じてしまいます。彼らは様々なスイッチが押された結果、今そこで生きていて。だからこそここで押されたスイッチもまた、その先へ続いていく。7話って改めて「今」の関係性がよく見えて、そしてこの先へ進んだ時に得られる気付きが散らばっているように思えます。

ところで伊吹ってハムちゃんに、楽しいことこれからいっぱいしようぜって言うんですよね、この回。迂闊に外を出歩けない過去と現状を持つハムちゃんに、明るい未来の話をする。「お魚見ながらごはんが食べ」られなかった理由も考えてしまいますし、不意に5話あたりをちょっと思い出しました。俺たちがついてるって、直接言葉にして伝えてきたの?なんて、思ってしまいました。寄り添おうとして届かなかったものを言葉にして直接受け渡す、ように思えてしまうんですが、いかんせんこれは服だけで妄想を広げている話なので何がどうという話でもありません。そう感じてしまっただけ。7話の雑誌が11話にああした形で繋がるなら、ワンチャンその台詞も…とか思ってしまったんです。

ちなみに、スゥとモアが着ていたのは「BABYMETAL WORLD TOUR 2016 LEGEND - METAL RESISTANCE - RED NIGHT & BLACK NIGHT」のライブTシャツです。大切な宝物。

 


8話

Tシャツを調べていて怖いと思ったことはありますか?私はあります。

・伊吹1-John Winston Ono Lennon(7話伊吹1と同じ/#8 1〜10)

・伊吹2-Jimi Hendrix(#8 11〜17)

・伊吹3-LED ZEPPELIN(#8 19〜27)

・伊吹4-sacai × NIKE(3話伊吹5.4話伊吹1と同じ/#8 29〜33)

・伊吹5-Sonic Youth(#8 35〜45)

・伊吹6-Jesse Draxler(#8 52.55〜57)

・伊吹7(学生)-Bon Jovi(#8 53.54)

・伊吹8-(#8 58〜81)

※この8話伊吹8(と11話伊吹2)ですが、見つけることが出来ずにいます。探し方が悪いのかとも思うのですが、触れずにいることも伊吹との距離感かなと思わなくもないので、不明のまま進みます。もしご存知の方がいたらご一報いただけますと幸いです。


さてこの、話としては伊吹回に当たる8話ですが、こればっかりはほんと、リアルタイムで気付いていた方は絶句ものだったのではないでしょうか。この話のネタバレどころの騒ぎではないというか、思いっきり掘り下げたら若干先取られてるというか。ちなみに私は調べながら、やめてくれよ…とリアルに震えてsacaiのパーカーが出てきたタイミングでスマホを投げ飛ばしました。

冒頭は7話からの続きなので、ジョン・レノンがそこにいます。次に出てくるのがJimi Hendrix愛称ジミヘン、ハードロックの原型を作ったとも言われるアーティストです。伊吹の刑事としての原型を築いたガマさんの回だよ、とでも言いたいんでしょうか。ところで八王子市とあきる野市って隣接しているんですね。そういうのやめません…?色々考えて勝手に泣いてしまいます。

次に志摩とガマさん宅にお邪魔する際に着ているのが、LED ZEPPELINジョン・ボーナム追悼40周年のTシャツです。Led ZeppelinのTシャツは5話でも着ていましたね。こちらはドラマーであるジョン・ボーナムの事故死を追悼するものですが、彼の死を受けバンドは解散を選びます。彼なしでは活動を続けることは出来ない、と。はい。

志摩は言います。伊吹の勘が冴えない時はバイアスが働いている時だと。この回でバイアスが働いている場面と言ったら捜査会議の時かな、と思います。その時彼は、sacaiのNIKEコラボパーカー(3話終わりから4話冒頭に着ていたものと同じ)を着ています。バンドTシャツでないからこその情報のシャットダウン(8話は他が雄弁すぎる)に怯んでしまいました。でもバイアスが働いている場面だから、という理由で見ると2話で伊吹がバンドTシャツを着ていないのも、ある意味納得させられてしまうなと、今更思わなくもなかったです。が、このパーカーにぶち当たった時の喉がヒュッてした感覚はしばらく忘れられそうにありません。

そして、怪獣大決戦後のUDIラボへ向かう伊吹。服はSonic YouthのメジャーデビューアルバムGOOのジャケット、なのですが。描かれた男女2名は、イギリスでかつて起きたムーアズ殺人事件の犯人とその共犯者を通報した、共犯者の妹夫婦です。描かれているのは通報した側の人間である、とみると伊吹の仕事柄、おっ、と思うことがありますよね。けれどそのムーアズ殺人事件事件が、完全犯罪を目論み遺体を荒野に埋めた連続猟奇殺人、と聞いてしまうともう私はダメでした。どうしてそういうことをするの。

志摩が伊吹の元を訪れます。

迎え入れた際の部屋着はJesse DraxlerのNilosコラボTシャツ。彼はビジュアル、イラスト方面のアーティストです。日本語サイトがほぼなく、調べた当初真っ先に見つけた日本語が「漆黒を描くアーティスト」だったのには正直泣きました。バイアス云々ではなく、フタをされている、意識的なシャットダウン感を感じて呆然としました。ただでさえ内側に踏み込ませない伊吹がそこにいるというのに。

回想。伊吹少年はBon JoviのTシャツを着ています。Bon Joviの初来日って1984年なんですね。伊吹と志摩の生まれ年です。

8話ラスト。ここの服がまっっっっっっったく分かりません。いつも読めた文字や外的特徴を検索に突っ込んで探してるんですけど、こればっかりはどうしても見つけられませんでした(絵が絵なのでワード検索にビビっているのもあります)。見つけられたら嬉しいけれど、そこで与えられたメッセージがあったとして、それを受け取って自己解釈に興じてしまって良いのか、判断が出来かねます。だからいつか出会えればいいな、と思う程度に留めておいて、この時の伊吹と、この後に出てくる伊吹に想いを馳せるだけにしています。

単に度胸がないとも、いうけれど。

 


9話

・伊吹1-Sonic Youth(8話伊吹5と同じ/#9 1〜14)

・伊吹2-Nirvana(#9 20〜34)

・伊吹3-米津玄師(#9 38〜39)

・伊吹4-Vintage MARVEL Spiderman(#9 48〜114)


メロンパン号を洗う伊吹が着ているのは、8話でも着ていたSonic YouthのGOOです。この9話のタイミングで出てくる時こそ、通報した側の人間、という面を見るべきなのかなと、そう思うのは希望的すぎでしょうか。ちなみにですがその殺人事件、犯人は逮捕後に終身刑を受け、謝罪することなく釈放されたくない、死なせてくれと繰り返し79歳で亡くなったそうです。

ハムちゃんへの再聴取に同席することになった伊吹、ここでNirvanaのIn Uteroを着てきます。初めのうちは、原点回帰としての再出発的な意味かなとも思ったんですけど、多分このアルバムに楽曲「○○○○ me(※普通に書いていいのか分からなかったので伏せました)」が入っているからなのではないかな、と思いまして。Nirvanaのギタリスト兼ボーカルのカート・コバーンはこの楽曲を人生を肯定した反レイプ・ソングであると考えていると話し、また自身のメディアへの嫌悪感を表しているのではという視点を同楽曲に対し持たれていることについて、理解があったといいます。疑われ事情聴取を受けるハムちゃんへの、彼女を含めた数多の被害、または弱者の位置に立たされる女性に対しての、一種の寄り添いのように受け取れたら、少し救われるような気持ちになったんです。

伊吹はハムちゃんの味方と言いますか、自身と関わる人の背中を押してくれる人なのかなと思います。寄り添う姿勢を崩さない伊吹ですから。とは言え、そうだといいな、という希望的な話ですけどね。

そして分岐点のすれ違いが大きく描かれた、ハムちゃんお迎えのシーン。ここで着ているのは米津玄師のこうもりパーカー。聴取が続くハムちゃんの気持ちを和らげようとしてくれてるのかな、とその優しさを思います。背もたれの低いメロンパン号の助手席、後部座席から見たらきっと、フードに付いたこうもりの耳が良く見えていることでしょう。

伊吹も志摩も芝浦署のあの場で何も気付けなかったからこそ、始まりのスイッチは押されてしまったわけなんですけど。優しさを感じられてしまうから余計に、取りこぼしたスイッチが胸にきます。

そしてガサ入れする時の服。これテレビだと良く見えないんですけどスパイダーマンだそうです。スパイダー班!とも思いますが、スパイダーマンには作品のテーマ的な言葉があって。

『With great power comes great responsibility.』

(大いなる力には、大いなる責任が伴う。)

そして、9話の結末。なんかほんと、やるせないなあって。確実に間に合ったけど、一方では間に合わなかった。色々考えてしまう引きでした。

 


10話

・伊吹1-millennium parade(#10 3〜51)

・伊吹2-Kurt Cobain(#10 54〜95)

・伊吹3-Thirty Seconds to Mars(#10 60〜95)


3話で着たのとは別のmillennium parade、2019ライブTシャツからの幕開け。

ところで1話の時に4月5日にNirvana!とか言ってたんですけど。9話でも少し触れたカート・コバーン、この10話で着ています。で、4月5日との関係なんですけど、その日はカートが猟銃自殺を図った命日とされている日です。この作品で4月5日といえば第4機捜の始動日、そして麗子さんの命日ですよね…。なんて。まあでも、役者ご本人がNirvana好きっぽいので、正直あまり気にせずにいたいのですが。

そして久住にしてやられるこの回、カートのTシャツの上に羽織るのはいつものsacaiではなくThirty Seconds to Marsのジャケットです。人間の技術発展力について論じていた論文の副題がバンド名の由来だそうですが、久住の知略に全てが置いていかれる10話ラストを思ってしまって、その力に恐れ慄く心地でした。11話で九重が自分が機捜にいれば気付いて間に合ったかもしれないという旨の発言がありますが、この10話を思い返して、確かに…とその可能性を思ってしまったんですよ。掛け違えてしまったスイッチの行く先が本当に見えなくて、リアタイした日はTwitterを見ながら本当に震えましたね…。

 


11話

・伊吹1-King Gnu(#11 1〜19)

・伊吹2-(8話伊吹8と同じ#11 22〜33)

・伊吹3-THE NOVEMBERS(#11 37〜63)

・伊吹4- I ♡ JAPAN(#11 72〜90.94)

・伊吹5- Sacai(#11 93.96)

・伊吹6-米津玄師(#11 98)


綾野さんは自分に出来る応援をと考えていたけれど、11話の始まりと終わりのTシャツは、その想いがダイレクトにご本人たちやファンの人たちち届いたのではないかなぁと思っています。

始めに着ているのは2020年、初のアリーナ公演を含む全国ツアーの全公演を見合わせることとなったKing Gnu Live Tour 2020 "CEREMONY"のもの。終わりに着ているのは大阪公演以降を中止及び延期と判断された米津玄師 2020 TOUR / HYPEのものです。なくなってしまったライブツアーのTシャツを身に纏いながら駆け抜けて、同じく見送られたオリンピック開催地の足元、ゼロ地点からその先に向かっていく。すごく素敵な光景でした。

と、流れを戻しまして。

King GnuのライブTシャツから始まった最終話。応援、という意思を感じて静かに観ようと思っていたところ、だけど桔梗さんの挨拶を聞いて志摩をぶん殴るところまでを、例の8話で着ていた、私が把握出来ていないあのTシャツで現れた伊吹にほんと、ほんと何なのそのTシャツ…!となってしまったのも事実です。やっぱり知りたいんですね…。だって8話でも11話でも、ガマさんの逮捕だったり志摩からの「奥多摩に返す」発言だったりと、伊吹の内面を抉るようなシーンばかりで着てくるじゃないですか…。踏み込みたいけど、踏み込みたくない。気になるけど、知るのが怖くもある。いつか出会えたら思いっきり頭を抱えたいですね。

そして件のバットリ。というか盗聴のシーンから、伊吹はTHE NOVEMBERSのTシャツを着ています。こちらのバンドも新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、THE NOVEMBERS TOUR-消失点-の開催を見送られています。だからこれもきっと応援のひとつ。ですが。このTシャツはツアーグッズではなく、ドラムスが手掛けた「自分が欲しいから独断的に作ったアイテム」シリーズになります(ちなみに8話で伊吹の部屋に掛かってます)。独断的。それを着て、信じなきゃよかったという言葉を受け一人先行して久住と接触し、捕われてのバットリへ辿り着く。いや分かるけれども…。なんか、ほんと選び方が凄いなって改めて思ってしまいました。ここはもう、本当に。

I ♡ JAPANについては、志摩と伊吹、バカ2人のお揃いペアルック!以外の情報はいらないと思ってます。え?

桔梗さんの元に行った時の服装はsacaiのパーカー。2話冒頭で着ていたのと同じですね。なんかバンドTシャツの情報量があまりにも多くて、sacaiのパーカー見るとちょっと気持ちが和むようになりました(ただし8話のNIKEコラボ、お前はダメだ心臓に悪すぎる)。

最後は米津玄師のライブTシャツを身に纏い、0地点から再び走り出していきます。

 

 

 

 

 

 

ね。

 


というかほんと、調べ始めた当初はこんなに情報が盛りだくさんだとは思っていなくて、ほんと、うわあ、うわぁあと身震いしながら検索画面と睨めっこしていました。その時間が本当に、本当に楽しかったです。そうでなくても作品「MIU404」に触れている時間は本当に楽しい。衣装抜きにして作品の感想だけを溢れさせたいくらい。大好きです。

だけどこの場ではなにより、彼ならそうかもしれないと思わせてくれた伊吹藍、ここまで想いを込めに込めて詰め込んでくださった衣装担当の方々とそして、綾野剛さんに大きな愛と感謝と尊敬の念を込めて。

楽しかったです。

本当にありがとうございました!!

 

 

 

 

 

 


最後に。

調べ方はほぼテレビ画面と向き合って一時停止してググる。だったのですが、9話のスパイダーマン、11話の米津玄師ツアーTシャツについては、テレビ画面からの判断が出来なかったのでネットから情報をいただきました。バンド、アーティストの情報については各公式HPやWikipediaを参考にさせていただいています。

情報に誤りがある場合は出来うる限りで修正いたします。ご了承ください。

ちなみに8話伊吹8と11話伊吹2の例のシャツについては、未だ検索チャレンジは続けています。ヒットしないけど。いつの日か判明したら、追記したいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

それでは。

いちオタクの感想文でした!

 

 

 

 


 

 

 

 

2020/3/14

文章まとめ直しました。